古い掛時計を電波時計化してみた


 いやー、面白かった。電波時計最高。
 写真を撮っとけば良かったんだけどなー。まーでも、写真付きの丁寧な記事は他にいくらでもあるだろってことで、いつものように気楽に書こう。

 うちには古い掛時計がありましてな。割と普通のクォーツ式の奴。
 別にお高い奴とかじゃないんだけど、ちょっとした思い入れのある品で、でも電波時計と比べるとやっぱり不便ではあったのだ。「狂ってるかもしれない時計」と「ほぼ確実に合ってる時計」って別物だからなー。

 んで、これを電波時計にする方法は無いんかな、と。
 無いだろーなー、と思いつつも調べたら、普通にあった。うへえ。

 時計の知識がある人には当たり前なんだろうけど、針を回す機構ってもう共通部品な感じなのな。文字盤とかはバリエーション豊かだけど、電池とか入れるとこの四角い箱っぽい奴は確かにみんな似たような雰囲気ではあった。こやつはムーブメントって名前らしい。そういえば腕時計方面でムーブメントがどうとか聞くなー。似た話ではあるのかもしれん。
 で、そのムーブメントを単体で買って交換すればいいらしい。

 もう少し調べると、「文字盤とかのガワの部分」「ムーブメント」「針」の三つに大きく分けて、お互いの噛み合わせをクリアすればどうにかなるっぽい。
 元々の時計は、まー、動かなくなったらなったで、どこかにしまっておけばいいや、と割り切ることにして、仕様確認の為にまずは分解してみる。

 まず、ムーブメントと針の互換性が問題みたいなんだけど、元々の時計のムーブメントには「SKP」の刻印がでっかく入ってた。SKPとかRTとかYSとかあるらしいけど、SKPの電波時計ムーブメントは買い易くて楽らしい。針が使い回せる可能性も高い模様。駄目なら駄目で、後で針だけ買い足せばいいや。
 ということで、ろくに寸法も計測せずに、ちょっと大きめなMRC-300を買ってしまった。あれだ、CPUクーラーか何かを買うような気楽な気持ちだったのだ。多少のサイズ違いはうまくカバー出来るようになってんじゃね、と。
 だが、基本的に小売り向けでない部品は、そんな無駄なコストを許してくれなかった。いやまあ、普通に何とかなるにはなるんだけどさ。

 とりあえず、反省点として書いておきたい。寸法はちゃんと測りましょう。
 とは言っても、一応俺も真面目に測ったつもりではあったんだが。誠時ってとこが売ってるSKP製電波ムーブメントだったんだけど、精密な寸法図とか用意してくれてないのよな。なので、仕方なかったような気もしなくもない。
 俺の場合、元のムーブメントの軸が根元から先端まで10mmだと思うんだけど、MRC-300を取り付けようとしたらかなり余ったので、MRC-250にすべきだったのかも。
 でも、小さすぎたらそれこそどうにもならなかった気はする。うーむ。「寸足らずを買いました」だけはどうにもならんもんな。もちろん、それが分かってるから大きめを買ったのはあるんだけど、それにしても想定より余り過ぎた。
 もう一つどうにもならないケースとして「電波時計にするつもりなのにクォーツ式買いました」というのもあるが。選んでる時に「これいいじゃん、って電波式じゃねーよあぶねえ」って一度あったからな。ハハハ。

 で、そろそろ話を戻して。とりあえず作業開始。

 最初は特に問題無かった。
 いや、いきなり問題あったな。元々のムーブメントは、プラの爪で上下からホールドされてたのだが、新しいムーブメントを突っ込もうとするとかなり無理があったので、ペンチで爪を根元からブチ折った。不可逆な工作は気が重いが仕方ない。なお、これは多分MRC-250だろうがMRC-300だろうが同じことなんじゃないかなーと思う。
 後で思うに、丁寧に加工して部分的にでも爪を温存した方が良かったような気もするのだが、まー、何とかなってるからいいや。

 んで、ムーブメントとゴムパッキンだの何だのを裏から突っ込んで、表側からナットで留めて、針を丁寧に12時方向にしながら差し込んで、針がちゃんとお互い水平に浮いて干渉してないことを確認したら、ムーブメントに刺さったピンを抜いて電池を入れて、と。

 …針が動かねえ。

 原因は薄々見当が付いていた。以前のムーブメントより軸が長いせいで、針がカバーに当たっちゃってるのだ。
 時計はやはり非常に省電力かつ精密な機構であるせいか、ちょっと針が重たいだけでまともに動かなくなるようだ。

 対策は色々考えられるが、まずはカバーを外してみた。普通に動いた。うむ。でも、これは最終手段としたいなー。
 カバーを軽く浮かせた状態にしてみても動いたけど、これも不恰好だよなー。

 真面目に対策するとしたら、ワッシャーとかで適当に軸を沈ませればいい筈。
 ならば、裏側のムーブメント取り付け面に、ゴムだのワッシャーだのナットだのを無駄に噛ませまくれば何とかなるんじゃね?

 実際やってみたら、手持ちのパーツじゃ全然足りない。
 つーか、全パーツをなるべく文字盤の裏側に仕込んだけど、どうしても秒針が引っ掛かるような動きになる。何度もやり直すの辛いんだよ、この作業。

 結局、ムーブメントの軸の根元側から、ワッシャー(いらない)→2mmくらい空間を空けて半端に締めたナット→ゴムパッキン→文字盤→丸ナット、という順序で並ぶようにして、丸ナットをガッツリ締めたら一応何とか留まった。あまりにもその場しのぎ過ぎて笑えるレベルである。
 そんな雑なやり方でも、ムーブメントと針はお互いガッチリ固定されてるけど、さすがに文字盤の固定は緩い。軽く叩く程度ではさすがに動かないが、少し力を掛ければ簡単に文字盤だけグリグリと回せる。壁掛けの状態でプラプラする程ではないので、実用的には何とかなるかな、とは思うけど。まあ、駄目なら2mmくらい浮いてるナットのとこを真面目に何か噛ませればいいかな。重ねた紙に穴でも空ければ十分だろうし。
 それに、ここを調整するには針を外すところからやり直しなので、もうやりたくない。何しろ、いちいち12時に時計を合わせて、ムーブメントに固定ピンを刺して、針を抜いて、というのが疲れる。特に針の抜き差しは精神的にだるい。すぐ曲がるし。
 針を外すのが面倒なら、ムーブメントをプラ用テープでも粘土でも何でもいいから適当に固定すりゃいい気もしてきた。まー、いくらでも手はあるだろう。多分。

 で、めんどくさいのでピン抜いて電池突っ込んだら、ちゃんとカバーとも干渉せずに動き出した。わーい。

 毎度ながら雑な作業だが、今回は特に雑さが目立った気がする。
 でも動いてるし、寸法を無理矢理合わせる為に変なことをしたからこんなことになっただけで、最初の試運転の時はカッチリ固定されて気持ち良く動いてたので(カバーさえしなければな)、「電波時計化に興味のある方はお試しあれ」と締めてしまっても良かろう。多分。
 とはいえ、うまく行かない時はもっと色々と面倒らしいけど。SKPからSKPへの移植だから楽だったのかも。

(Visited 3,845 times, 1 visits today)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください